求人広告代理店出身の僕が人事担当者に教えたい広告作成のコツ

僕は新卒で求人広告の代理店に入った。ブラックだったので二年で辞めたけど、ブラックだったからこそたった二年にしてはいろんなノウハウを学んだ。
せっかくだからそのときの学びを記録しておきたい。曲がりなりにも一応広告に関わっていたので、広告の見方も変わった。その辺について書いてみる。

はじめに:(少なくとも求人の)広告は理詰めで作られている

一番大事なことだから初めに書くが、広告に「なんとなくよさそう」で書かれている文章なんてマジで一文もない。
もしあなたが企業の採用担当で、広告代理店の営業担当者に「この文章はどうしてこうなってるんですか」と聞いて具体的な答えが返ってこなかったら、その営業とは縁を切るべきだ。
求人広告は多くの場合、記載できる文字数の上限が決められている。冷静に考えて、曲がりなりにも従業員を抱えて必死に金を稼いでいる企業のことを300文字だの600文字だので完全に説明できるはずがない。
企業が持つ魅力(あるいはそのポテンシャル)を慎重に選び取り、採用したい人物に向けて的確に表現しなければならない。遊びが介入する余地なんてガチのマジで一ミリもない。

「おふざけ」さえも理詰めで作っている

「でもウケ狙いの広告だってあるじゃん」という声も聞こえそうだが、それすらめちゃくちゃ真剣に考えて絞り出したユーモアだ。間違いない。
ウケ狙いの広告を出すのはどんな業界か?不動産、業種問わず若いベンチャー企業、ブルーワーク系…そんなところだと思う。
彼らが「おふざけ」をやるのは、「おふざけが好きな人間が欲しいから」だ。金に余裕があるから一発カマしてるわけでは絶対にない。
こと求人広告に関しては、ターゲットの人物像に突き刺すための文言を選んでいる。つまりターゲットから言葉が出てくるのであって、広告の作り手から言葉が出てくるわけではない。この辺は後述する。

ここまで断言できるのは、「求人広告を作っているのは『天才クリエイター』では絶対にないから」だ。
確かに、マーケティングとかしなくても商品の魅力を伝えたり、人心を掌握するようなデザインを直感で作れるナチュラルボーンの天才クリエイターは存在する。
だが、そんな人材を電通博報堂、その他デザイン事務所が放っておくだろうか?そうした人たちがわざわざ「求人」の分野で力を発揮しようと思うだろうか?
求人広告を作るのは、「広告業界の一線で戦えない人たち」だ。ここに異論をはさまないでほしい。一応言っておくが、僕ももちろんこの凡夫側の人間だ。だから辞めたんだしね。

さて、そんな凡人が効果の出る広告を作るにはどうするか。
天才が作った画期的な広告を分析し、その効果がどのように生み出されるかを一般化し模倣する。これしかないのだ。
そういうわけで、冒頭の主張に戻る。「求人広告は理詰めで作られている」。
逆に言えば、どんなに才能がなくても「理詰めで考えれば求人広告は作れる」ということでもある。
企業の採用担当の方におかれましては、この点をしっかり押さえて業務に臨んでいただきたいものである。

ぶっちゃけ前の企業でもこういった話はお客さんにしていたが、自分もそういった凡夫の集積地にいる以上は声高に話せないこともたくさんあった。
今はまったく関係ない仕事をしているので思う存分こういう話ができる。今後、勉強の息抜きにこのシリーズを続けていきたいと思うので、たまに見てもらえれば幸いです。
他の技術系の勉強過程は一ミリも皆さんの役に立たないので読まなくていいです。